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ハーモニカは全く初めての方には、ハーモニカの構造・持ち方・くわえ方・動かし方など基本的なところから始めます。基本ができていない段階で先へ進むのは良くありません。なぜなら一旦間違った持ち方やくわえ方、動かし方などが身に付くとなかなか直らないからです。
先を急がずゆっくりと進めていくことが上達の秘訣です。
ハーモニカの経験がある方の場合、その習熟度に応じて進めていきます。
これまでの指導経験からすると、5~6年ハーモニカの経験があり、かなりのテクニックをお持ちの場合でも、音そのものが狭くてキンキンしている場合が多く見受けられます。これはハーモニカのくわえ方に問題があるケースがほとんどです。どんなにテクニックを駆使した演奏でも、高音域になるとガクンと音量が落ちたり、音そのものに太さややわらかさがなければその魅力も半減してしまいます。
上手く演奏できない原因、表現力に乏しい原因はたくさんあります。
実際のレッスンでは、曲を演奏していて、あるフレーズにきたところで上手く演奏できないという場合、その原因は何か、その原因を解決するためにはどこをどう変えれば良いかということをアドバイスいたします。
ミスをする原因は1つではない
上手く演奏できない箇所(フレーズ、または曲全体)を分析すると、その原因は大抵の場合、1つではありません。「上手く演奏ができない原因を考えてみよう」に列挙していますが、この中の幾つが複合的に関連している場合が多いと思います。
例えば、あるフレーズで高音域にジャンプ(飛躍)するようなケースの場合、
- ジャンプした瞬間、口先が極端に小さくなるため音量がガクンと落ちる。
- そもそもジャンプの距離感が定まっていない。(何番穴から何番穴にジャンプするのかが分かっていない。楽譜上の音符の視覚的な位置を実際の移動距離と勘違いしている場合もある。)
- ハーモニカの動かし方が雑で、急発進・急ブレーキをかけている。
- 目線が極端に右斜め上を向くために、ハーモニカの傾きが微妙にずれている。
- 階名が頭に浮かんでいない。
- ゆっくりとしたテンポで練習していない。
上手く演奏できない原因は何かをまず考え、その攻略法を常に考える習慣を付けること!!
誤った練習例の1つが、例えば1つの曲を最初から練習してミスをしたらまた最初に戻ってやり直しというような練習法です。これは曲の最初の方ばかりに重点が置かれ、中間部分、後半部分の練習がおろそかになります。もう一つの誤った練習例が、曲の最初から最後まで一通り練習し、また最初に戻るというような練習法です。このような練習法は効率的とは言えません。比較的簡単なフレーズは少ない回数で、難しいフレーズはその2倍、3倍、10倍というように、曲を色に例えれば、濃淡を付けて練習する必要があります。そして上手くなるためには、その原因が何であるかを知り、その原因を取り除くためには何をしたらいいか、具体的にどのような練習をしたらいいかということを理解する、つまり上手く演奏できない原因と解決のための攻略法を常に考えて練習することが必要です。
一美塾では、なぜできないのかという原因を生徒さんと一緒になって考え、その対処法をアドバイスいたします。
私のハーモニカ変遷を少し紹介します。これからこのハーモニカを始めようとする人、2~5年の経験がある人、伸び悩んでいる人にはヒントになるかもしれません。少々長くなりますが最後まで読んでいただきたいと思います。
クロマティックハーモニカを始めて5、6年が経った頃でしょうか、ソロのコンテストで優勝したいという夢があり、かなり練習した時期がありました。難易度の高い曲を繰り返し練習していましたが、どうしてもできません。また高音域になるとガクンと音量が落ち、全音域に渡って音そのものが細いということも悩みの種でした。スピーカーから出る音はそこそこいいのですが、生の音になると貧弱に聴こえます。しかしその原因がどこにあるのか全く分かりませんでした。そこで熟慮の末、コンテスト出場は諦めようという気持ちに変わりました。そして基本に戻ってもう一度最初からやり直し、テクニックではなく、まずは一音一音に磨きをかける、生の演奏でも自信を持てるようになる、そして豊かな表現ができるようになるということを目指そうという気持ちになりました。コンテスト出場を断念してからは気持ちが随分楽になり、じっくりと曲の分析ができるようになりました。
具体的には以下のプレイヤーの演奏をよく聴くようにしました。
※敬称は略しています。
ジャズ、ポピュラー、その他
徳永延生
田中光栄
トゥーツ・シールマンス(Tooth Thielemans)
スティービー・ワンダー(Stevie Wonder )
クラシック
和谷泰扶
トミー・ライリー(Tommy Reilly)
ラリー・アドラー(Larry Adler)
シグムンド・グロブン(Sigmund Groven)
これら日本・世界のトッププレイヤーと言われている人たちの音色や表現力は大変参考になります。
それからこれまでの練習法で一番大きく変わったのは、徳永延生先生の演奏に一歩でも近づけるということでした。具体的には、徳永先生の編曲による大全集(現在はアレンジ集となり、内容も一新されています。)の中から難易度が中程度(Eランク)の曲を選び、その曲を1~3小節単位に区切って、何度も模範演奏を聴きながら繰り返し練習しました。この時、楽譜は一切見ません。自分の耳だけが頼りです。模範演奏の音と合っているか実際に音を出して確認します。気の遠くなるような作業でしたが、1年ほど続けていると明らかな変化が出てきました。それは音色に変化を付けることができるようになったのです。口の中をこうして、舌の位置をここら辺に持ってくればこんな音が出るというようなことがだんだんと分かってきました。さらに、音が出た瞬間、この音はドとか、ラという音名が瞬時に分かるようになりました。またこれまでスムーズに演奏できなかった原因が何だったのかということがだんだんと分かるようになってきました。
そして最初は、1曲を暗譜するのに3ヶ月から4ケ月を要していましたが、その期間が2ケ月、1ケ月というようにだんだんと短くなり、今では1曲を暗譜するのに、曲の難易度や音数の多さで違ってきますが、だいたい20分から3時間という時間で音取りができるようになりました。楽譜をごくたまに見ることがありますが、それはリズムの確認であったり、聞こえるか聞こえないかという小さな音の音名の確認です。
音取りができるというのは、具体的には、
- 演奏していると頭の中に音名が浮かぶ。
- ハーモニカの動きが頭の中で視覚的にイメージできる。
- この音符のドの音は4番で、この音は5番で吹くというように最も効果的なドのポジションが瞬時に分かる。
- この箇所は前ベンドをかける、後ベンドをかける、この音は途中からビブラートをかけながらクレッシェンドすれば効果的
というようなことが分かるようになるということです。
お断りしておきますが、30分や1時間で演奏できるレベルになるということではありません。あくまで音(音名)の確認ができたということです。これからさらに繰り返し練習して演奏の精度を上げていきます。この練習のとき、私の頭の中では音名が常に流れ、ハーモニカの動きがイメージできています。詳しく述べると、上記1~4の作業をそれぞれ個別に行うのではなく、同時並行して行います。そうすることで、これらの作業が相互に関連付られて、記憶がより強固なものとなります。
楽譜がなくてよく演奏できますねと言われることがありますが、先程述べたように楽譜は極力見ないようにしています。最初から楽譜は存在しないと言ってもいいかもしれません。私の頭の中にあるのは、その曲の音の響きと音名、その他たくさんの情報量です。楽譜を見ないと言ってもそれはカラオケで演奏する場合のことです。ピアノやギターの伴奏では、伴奏者が間違った場合、途中からまた再開というケースもありますので、一応譜面立てに楽譜を置いておきます。無伴奏によるデュオ演奏なども同じです。
音楽のジャンルには、大きく分けるとクラシック系とジャズ・ポピュラー系があります。両者の演奏スタイルは、前者は自由度が高く、後者はより厳密であると言えます。特にクラシックの場合は、楽譜に対して忠実に、作曲者の意図をくみ取ってきちんと表現することが大事だと言われます。ですから楽譜を見ないで、主に音だけを頼りに曲を仕上げていくという方法は、クラシックの場合には当てはまりませんので念のため申し添えます。
ソロコンテストでの優勝は叶いませんでしたが、その代わり優勝以上の宝物を手に入れたと思っています。宝物といっても、プロの方からすると、持っていて当たり前ではないかと言われるかもしれません。しかし、コンテストにばかり固執していたら今の私はなかったと思います。
夢が叶わなくても、コツコツと努力していけばそれに見合うだけの物を手に入れることができる、人生とはそういうものではないでしょうか。
私たちはこれまで、クラシックを山名雄三、和谷泰扶、ジャズ・ポピュラーを安田哲夫、徳永延生、田中光栄(師匠名は師事した順に掲載)という素晴らしい先生方の指導を受けてきました。私たちのバックボーンは、これらの先生方の指導に負うところが大きいということを付け加えておきます。