ブログ

ブログ第79号:Kazumijuku Training Camp

 10月25日(金)~27日(日)の2泊3日で一美塾の合宿を開催します。直近では2019年に開催しましたので、5年ぶりとなります。

 合宿の会場はおおむたハイツ(福岡県大牟田市)です。修学旅行や会社の研修等で良く利用されているそうです。もちろん一般の宿泊客も利用可能です。

 今回の合宿では、マイクなし(音響機器なし)、カラオケなして演奏する場合の方法について学びます。日頃からマイクばかり使って演奏していると、ハーモニカそのものの音量が小さくなる傾向があります。またコンサートなどでマイクなしで演奏してくれませんかと言われると、躊躇してしまいます。それはハーモニカの生音とマイクを通しての音があまりにも乖離しているからです。

 難しい曲は演奏できないからとか経験年数が浅いからという理由で合宿参加を躊躇している人、そんな余計なことは考えないでください。生演奏でテンポの速い難しい曲も演奏しても、聴いている人の心にはあまり響かないでしょう。人の心に響く演奏というのはむしろ音数が少なくてゆっくりと流れるような曲です。テクニックよりも人の心に残る演奏を目指しましょう!!

 合宿ではこのような観点から、ゆるやかなテンポの曲を集中的に学びます。生演奏で不可欠なのがハンドビブラートと3度奏法です。これらも含めてハーモニカの基本をしっかりと身に付けましょう!!

 私には苦い思い出があります。もう20年近く前ですが、福岡県大牟田市の上内(かみうち)というところ(美味しいミカン🍊が採れるところで知られています。)で夏祭り🍉があり、そこでハーモニカ演奏をしたことがありました。演奏会場はJA南筑後上内支所の敷地内でした。街中の賑やかな祭りとは違い、周りは田んぼと山々に囲まれたのどかな風景で、田舎の素朴な祭りという感じでした。

 祭りは夕方から始まり、ハーモニカ演奏の時には辺りが真っ暗になっていました。山から吹きおろす心地よい風を感じながらハーモニカ演奏をしたことを今も覚えています。清水と二人で1時間ほど演奏したでしょうか。やっと終わった!と充実感に浸りながら舞台から降りようとしていたその時でした。70歳代の男性が私に近づいてきて、「(スピーカーを通さずに)ハーモニカだけで演奏してもらえないでしょうか。ハーモニカの素朴な音色が聴きたいんです。」と言われました。

 この時、私は「これはまずい!」と瞬間的に思いました。そして私は「このハーモニカは通常、スピーカーを通して演奏しますので、生での演奏は申し訳ありませんができません。」と丁寧に断りました。その時の私の気持ちは複雑でした。音響機器を使って演奏した後に生で演奏した場合、音量にかなりの落差があり、それを聴けばがっかりされるのではないだろうかと思ったからです。

 それともう一つ理由がありました。その頃の私は浅いくわえ方で演奏をしていました。スピーカーを通せばそれなりに聴きごたえがあるのですが、生の音となると薄っぺらな貧弱な音で、自分自身のハーモニカの音色にあまり自信がなかったのです。世界のハーモニカ奏者のCDから流れてくる音は重厚で、人を惹きつける魅力があります。後で述べますが、イギリスのハーモニカ奏者トミーライリーの音色はまろやかで包み込むような音色です。そして盲目のハーモニカ奏者スティービーワンダーの音色はボクシングに例えればヘビー級のボクサーのようなパンチです。レーザー光線のように真っすぐに突き進んでいく芯のある音色です。

 この2人に比べて私の音色は薄っぺらで金属音のようにキンキンした音です。芯がなくふらふらとしています。2人のような音色が出せないか色々と試してみましたが全くダメでした。当時の私はどうしたらあんな音が出せるのかその答えが見いだせず暗中模索の状態でした。そして紆余曲折しながら私なりの一つの結論に達しました。それは音色を決定づけるのはくわえ方と呼吸法である。日頃からなるべく大きな音で練習し、深くくわえて体全身を使って音を出す。そして生演奏する場合はハンドビブラートの使い方が重要であるということでした。

でもそうは言ってもやたらと大きな音を出せばいいというものではありません。要はマイクを使用する場合と生で演奏する場合とでは、演奏方法を使い分ける必要があります。

 今回の合宿では、どのように使い分けるかを比較的簡単な曲を通して学びます。

 随分前ですが、徳永延生先生と和谷泰扶先生のハーモニカ合宿に参加したことがあります。どちらも懐かしい思い出です。その中で特に印象に残っているのが、和谷先生の夏合宿(2007年開催)に初めて参加したときのことです。その頃はパッカー奏法(一つの穴をくわえて音を出す奏法)で吹いていました。当時の私は和谷先生から個人レッスンを受けたことは一度もなく、直接先生に電話をして合宿に参加させていただきました。

 和谷先生の生徒さんは当然タンブロック奏法で吹かれます。私はこの奏法で演奏することができないので正直言って大きな不安を感じていました。

 合宿の会場は、滋賀県大津市にある滋賀県母子福祉施設のぞみ荘です。参加人数は約30名。ほとんどが関西にお住まいの方で、九州からは柿野周二郎さん(北九州市)と私(筑後市)の2人だけでした。この会場から徒歩5分ぐらいのところが琵琶湖です。朝起きて琵琶湖の湖畔⛵を散歩した思い出があります。

 クロマティックハーモニカの世界三大奏者と言えば、トミーライリー、ラリーアドラー、トゥーツシールマンスです。私はこの中のトミーライリーが吹いているセレナーデという無伴奏の曲が大好きで、いつかは演奏してみたいとずっと思い続けていました。しかしこの曲はタンブロック奏法でないと演奏できません。

 当時は九州にタンブロック奏法を教えてくれる先生がいませんでした。その頃、私は徳永延生先生の個人レッスンを受けに2~3ケ月に1度福岡から大阪に通っていたので、京都まで足を運んで和谷先生のレッスンを受けることも考えたのですが、仕事や経済的なこと等を考えると現実的には無理でした。ですから私の心の中はいつかはタンブロック奏法を習いたい、タンブロックで演奏したいという思いがずっとくすぶり続けていました。

 合宿に参加して2日目、経験の浅い者だけを対象としたクラスがあり、私ももちろんそのクラスに入りました。人数にして5~6人だったと記憶しています。このクラスの講師は竹内直子先生(現在、ドイツで活躍されていると思います。)です。そして先生から念願だったタンブロック奏法の吹き方を習いました。
 クロマティックハーモニカを習い始めてから約10年。やっとスタートラインに立ったという思いでした。竹内先生が大きなホワイトボードにタンブロック奏法の吹き方を書かれ説明をされたときの喜びと感動を今も忘れることができません。と同時に、随分長くかかったなあという感傷的な気持ちが湧いてきて心の中は複雑でした🥲
 ちなみにこのとき、私の横に座っていた可愛らしい女性がいました。中学生だったと思います。この方はのちにFIHハーモニカコンテストのクラシック部門で優勝されました。合宿最終日は発表会です。全員タンブロック奏法で演奏されますが、私は習ったばかりで、とてもこの奏法で演奏できません。パッカー奏法で何か演奏したと思います。もちろんカラオケなし、マイクなしでです。淡い思い出として残っています。

 この合宿で一つだけ心強かったのは、合宿所に着いてすぐ、北九州の柿野周二郎さんから声を掛けていただいたことです。柿野さんは私が北九州市の黒崎に教室を開設したときに、真っ先に入会していただきました。博学でハーモニカの歴史や構造などに精通しておられます。柿野さんの少年のような目の輝きに私はいつも刺激を受けます。

 現在はご高齢のため教室を退会されていますが、一美塾の発表会には是非参加してもらいたいと思っています。

 

 合宿初日の夜は和谷先生ご夫妻を囲んでの懇親会です。深夜に及んだ懇親会はハーモニカ談義で大いに盛り上がりました。そして2日目の朝、目を覚ますと遠くからハーモニカの音が聴こえてきます。部屋は4~5人の相部屋で、周りを見ると無造作に布団が敷かれていて誰もいません。しまった!!朝寝坊をした!!と思った私は顔も洗わずにハーモニカだけを持ってレッスン会場に飛んで行きました。どう言い訳をしようかなどと考えながらドアを開けると、広いレッスン会場の片隅で数人の方が練習をされています。全員椅子に座ってレッスンを受けている光景を想像していた私は、何かおかしいなあと思いながら時計を見ると6時を少しまわっていました。

 外を見るとまだ薄暗く、夕方なのかそれとも朝方なのか区別が付きません。どうも頭がぼーとしているようです。そこで部屋に戻って私の時計を見ると、レッスン会場の時計は狂っていないことが分かりました。そして昨日の出来事を冷静に振り返ったときに、今は早朝なんだということがだんだんと分かってきました。相部屋の人たちは早朝の自主練習をしていたのです。一人慌てて右往左往したことが恥ずかしく滑稽でもあり一人苦笑したものです。合宿で忘れられない思い出になりました。

 私と相部屋の人たちは歳が一回りも離れた先輩方です。このときばかりは、情熱に年齢は関係ないということを身をもって知らされました。人生は短い!時間を惜しんでハーモニカに精進しなければと思った次第です。

 下は合宿案内のチラシです。参加費用は他のハーモニカ教室と比較するとかなり安くなっていると思います。一美塾の経営方針は赤字を出さない程度に参加費用を抑える。しかし音響機器等にはお金をかける。質の悪い安物は使わない。発表会やコンサートの案内やプログラム作成には手を抜かない!!です。

 合宿は単にハーモニカの集中レッスンをするだけではなく、ハーモニカ仲間を作ることや様々な経験をさせてくれるイベントです。

 参加費用以上に実りのある合宿になるように頑張ります。人生の良き思い出を作りましょう!!
合宿は一美塾の生徒さんを対象に行います。多数の参加をお待ちしています!!

合宿案内チラシ① 合宿案内チラシ② 合宿案内チラシ③

このページのトップ

関連記事

  1. ブログ第74号:親子de防災体験フェアイベント
  2. ブログ第70号:筑紫野教室・第8回発表会
  3. ブログ第71号:龍田教室・第10回発表会
  4. ブログ第80号:第6回ふれあいコンサート
  5. ブログ第76号:ふれあいコンサート(第2~5回)
  6. ブログ第77号:6月のイベント
  7. ブログ第66号:チャント教室・第17回発表会
  8. ブログ第81号:第12回久留米教室発表会
PAGE TOP