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4月20日は某児童相談所で演奏と動物のお話をしてきました。今回で5回目になります。当初は演奏だけということでしたが、途中から子供にためになるようなお話もお願いしますということになり、前回に引き続き動物の話をしました。

子供たちは職員の指導で、「聖者の行進」を歌いながらハンドベルで演奏しました。個人情報保護の観点から写真を撮ることができませんのでご了承ください。みんな楽しそうでしたよ。😀
最初は私(中島一夫)が前回に引き続き動物の話を15分ほどして、続いて中島由美講師がジョン・レノン作曲のイマジンをクロマティックハーモニカとトレモノハーモニカで演奏しました。
動物の話ですが、今回はイノシシについてのお話です。私は以前、勤務先(県庁)の出先機関で一時期、野生鳥獣の保護の仕事をしていました。このときの経験を基にイノシシの話を質問形式の資料を作って話をしました。
私は以前、自宅の家の中でイノシシを半年ほど飼っていたことがありました。これは本当の話です。2010年5月のある日、勤務先の職場に市民の方から「自宅の庭にイノシシがいる」という電話があり、さっそく現場に行ってみると生後2ケ月ほどと思われるうり坊(イノシシの子供)が庭にいました。
私はいつも車の中に猫用のゲージと厚手の手袋を入れていたので、さっそくゲージを取り出して捕獲することにしました。現場には私一人で来ていたので、逃したらもう捕まらないかもしれません。野生のイノシシを素手で捕まえた経験はないので、全身に緊張が走ります。意を決してそっと近づき、グッと首根っこを掴んですばやくゲージに入れました。😰やっとゲージに入るくらいの大きさだったので幸いでした。
通常、傷病鳥獣(ケガや病気で弱っている野生の動物)を保護したときは、動物園に一時的に引き取ってもらい、そこで治療して野生に戻します。そこで県と契約を結んでいる動物園に引き取ってもらおうと電話したのですが、園長から断られてしまいました。イノシシは害獣だから引き取らないというのがその理由でした。私が園長だったら、「様子はどうですか?元気にしていますか?こちらでしっかりと世話をしますのですぐに連れて来てください!!」と間違いなく言ったでしょう。こういうところで命に対する価値観の違いが出るものです。動物園だから動物の命を大事にするということではありません。これが現実です。
2月という季節で朝晩は冷え込みます。うり坊は母親に添い寝して寒さをしのぎますが、母親はどこにもいません。多分親子で市街地に降りてきて迷子になったのでしょう。うり坊を山に戻せば寒さで死んでしまうのは確実です。途方に暮れた私は仕方なく自宅に連れて帰ることにしました。ホームセンターで犬用の大きなゲージを買ってきて自宅の2階で飼うことにしました。
イノシシを実際に飼ってみて分かったことがたくさんあります。まずイノシシは凶暴で人に危害を加えるとよく言われますが、これは誤った考えです。特に狩猟者や野生鳥獣専門の大学の講師たちが言うと、なるほどそうかとつい思ってしまいますが、イノシシは雑食性の動物ですから温厚な性格です。しかも非常に繊細で臆病です。ですから山道などで突然人間に出くわすとパニックになって突進して来る場合があります。人間が不用意に近づかなければ突進してくることはありません。
以下は、当日私が出した問題です。最後に解答を載せていますので、皆さん解いてみてください。
特に質問7は大人も考えさせられる問題です。市街地にイノシシ、シカ、サル、クマが出没する原因を作ったのは明らかに人間です。
車が1日に1台通るか通らないかという辺ぴな山奥に大きな車道を作っているケースがあります。これは動物たちに人間の住処に降りておいでというようなものです。また若年層の都市部への人口流出や少子高齢化等による人口減により動物たちが里山や市街地に近付きやすくなったことも原因の一つです。動物たちは空腹を満たすために餌を求めて人間の住処に近付いて来るようになりました。
また戦中戦後に木材の需要が高まったために野生動物の餌となる広葉樹林を伐採して、スギやヒノキなどの針葉樹林(人工林)が全国に植栽されました。ところが高度成長期以降に安価な外材の輸入が急拡大したため、国内産の木材の需要が減少して林業従事者の収入減や人口減などの問題をもたらしました。その結果、間伐などの手入れが十分にされずに放置されるという問題を引き起こしました。適切な間伐をしないと根が広がりにくく、土壌が痩せて固くなり保水力が低下してしまいます。その結果、近年では大雨等による土壌の崩壊で土砂が流出し、各地で大災害が発生しています。これらの問題はすべて人間が引き起こしたことが原因です。
近年、特に、野生動物による農業被害や林業被害が深刻化し、野生動物の捕獲や殺処分等が行政の管理の下に行われていますが、これは小手先の解決法です。被害を与えている野生動物を捕獲して殺処分するという単純な発想です。このような手法を取る限り永遠に問題は解決しないでしょう。
このような問題は、最終的には私たちがどういう生き方を選択するか、どういう社会環境を作るのかという問題に行きつきます。経済優先の国を作るのか、人と動物が共生する国を目指すのかという大きな視点に立って解決していく必要があります。しかし、そこまで問題を掘り下げて考える政治家はどこにもいません。行政も農業や林業従事者等の被害の声だけを取り上げて、野生鳥獣の保護を訴える一般市民の声はほとんど無視です。農業・林業・土木等の分野には湯水のように税金を使うのに、野生鳥獣の保護等にはスズメの涙ほどしか使わないというのが実態です。
どうしてこういう矛盾が生じるのかというと、農業・林業・土木従事者の声は地域の行政区長を通じて市会議員・県会議員・国会議員に届きます。届いた声はこれらの議員を通じて市役所や県庁等の行政機関に届くというシステムになっています。これは全国どこでも同じことです。
一方で一般市民の声は、大抵の場合、電話や投書等で市役所や県庁の機関に直接届きます。議員から届く声と一般市民から届く声のどちらが重視されるかというと、明らかに議員等からの声であることは言うまでもありません。市民からの切実な声は、「ご要望は十分うけたまわりました。今後の行政に反映させていただきます。」という決まり文句で葬り去られてしまいます。








最後に
日本に生息する野生動物にとって、日本という国土は非常に住みづらいと私は常々思っています。皆さんがこのブログを読んで、少しでも野生動物の気持ちに想いをはせていただければ幸いです。
今日は児童相談所の演奏から始まり、イノシシの話、日本が抱える問題等に発展してしまいました。最後まで読んでいただいた方、どうも有難うございます!!