上手く演奏ができないのは、ハーモニカに取り組む姿勢や意識に数多くの原因がある!!
上手く演奏ができない原因を詳しく分析すると、ハーモニカに対して取り組む姿勢や意識に多くの原因があることが分かります。皆さんの多くは、え~、そうかな?と思われるかもしれません。
そのことを皆さんに理解していただくために、詳しく説明したいと思います。これを読んだ後で皆さんのハーモニカに取り組む姿勢・意識が変わっていれば幸いです。このサイトを閲覧していただいているので、1つでも益になるものを持って帰ってください。
このページを読むに当たり2つだけ覚えてください。
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まず最初に、上手く演奏ができない原因を5つの区分に分けてみました。
・持ち方、くわえ方、動かし方等の基本操作
②ハーモニカの技術
・ビブラートやベンドが上手くできない
・速いフレーズが上手く演奏できない
・テンポがズレる
・演奏にメリハリがない等の表現力
③呼吸法
④取り組む姿勢・意識で、ハーモニカだけでなくすべての楽器に
共通するもの
⑤取り組む姿勢・意識で、ハーモニカに固有のもの。
NO | 区 分 | 上手く演奏ができない原因 |
---|---|---|
1 | フォーム等の基本 | ハーモニカのくわえ方が極端に浅い。 |
2 | 同 上 | ハーモニカの持ち方に問題がある。(腕や指の一部に力が入りすぎている場合等) |
3 | 同 上 | スケール練習を怠っているため、ハーモニカの基本的な動かし方がスムーズではない。 |
4 | 同 上 | 高音域にジャンプしたときに口先が極端に小さくなり、目線が右上方向を向いていてハーモニカの傾きが微妙にズレている。 |
5 | 同 上 | 口先で演奏している。体全身を使った演奏ができていない。 |
6 | ハーモニカの技術 | ハーモニカの動かし方がぎこちない。(急発進、急ブレーキをかけている。体全体または腕に力が入りすぎている。) |
7 | 同 上 | レバー操作が雑である。必要以上に力を入れている。レバーを押して元に戻したときに、いつも人差し指がレバーから離れている。人差し指がレバーから一瞬離れていることを全く意識していない。 |
8 | 同 上 | ローリングを意識した動かし方をしていない。 |
9 | 同 上 | ビブラート、ベンド、グッリッサンド等が雑である。 |
10 | 同 上 | 音色を変化させるためにはどうしたらいいかがよく分からない。 |
11 | 呼吸法 | 吹く音と吸う音の音量バランスが悪い。 |
12 | 同 上 | 息が続かない。(特に低音域で) |
13 | 姿勢・意識 (楽器全般) | スケール練習をするのが嫌い。 |
14 | 同 上 | 演奏するとき、音名が頭の中を流れていない。 |
15 | 同 上 | ドレミファソラシドの音名と音の高さが連動していない。 |
16 | 同 上 | ビブラートをかける箇所、ベンドをかける箇所をあまり意識していない。 |
17 | 同 上 | 速いテンポの曲ばかり練習していて、ゆっくりとしたテンポの曲が苦手である。(速いテンポの曲が演奏できること=上手い奏者という意識があり、基本的な練習を重要視していない。) |
18 | 同 上 | 日頃から大きな音を出すことを意識した練習をしていない。(ダイナミックな演奏ができない。) |
19 | 同 上 | 曲の最初から練習し、ミスをしたらまた最初に戻るというような練習をいつもしている。 |
20 | 同 上 | いつも1曲を通しで練習し、また最初に戻るというようなワンパターンの練習を繰り返している。 |
21 | 同 上 | 演奏にメリハリがない。特に小さな音、繊細な音を出すことを意識していない。 |
22 | 同 上 | カラオケに合わせた練習を日頃からしていない。 |
23 | 同 上 | 練習量(練習時間)こそが上達の秘訣だと思っている。 |
24 | 同 上 | 発表会が終われば、その時に演奏した曲はもう練習しない。(お蔵入り) |
25 | 同 上 | 上手く演奏できない速いテンポのフレーズでは、ゆっくりとしたテンポから仕上げていくという意識がない。 |
26 | 同 上 | このハーモニカ奏者(プロの奏者に限らない。仲間でもよい。)の音色や表現力に近づけようという意識があまりない。 |
27 | 同 上 | 基本的なスケール練習を階名で歌えない。 |
28 | 姿勢・意識 (ハーモニカ) | ドレミファソラシドの音は何番穴で出すのかという基本的なことが、頭の中で整理されていない。 |
29 | 同 上 | いつも穴番号を見て演奏している。 |
30 | 同 上 | さぐり吹きをしている。 |
31 | 同 上 | 4番と5番、または8番と9番の「ド」の穴番号を意識していない。つまり、4番のドの音を出しているのか、5番のドの音を出しているのかという意識が曖昧である。 |
32 | 同 上 | 頭の中でハーモニカの動きがイメージできていない。 |
33 | 同 上 | マイクを持った練習を日頃からしていない。 |
34 | 同 上 | マイクも楽器の一部であるという意識がない。マイクの持ち方が演奏にどのような影響を与えるかという意識があまりない。 |
皆さんは上の表を見て(良く読んで)、最初に何を感じるでしょうか?上手く演奏できない原因は他にもあるよという意見もあるでしょう。確かにそのとおりです。しかし、ここではそのようなことを問題としているのではありません。原因を探り、その解決法を見出すということがこのサイトの主旨ですので、その趣旨に沿って考えてください。
①フォーム等の基本・・・5項目
②ハーモニカの技術・・・5項目
③呼吸法・・・2項目
④取り組む姿勢・意識(楽器全般)・・・15項目
⑤取り組む姿勢・意識(ハーモニカ)・・・7項目
34項目中、実に22項目が④と⑤の取り組む姿勢・意識に属します。これは、一体どういうことかというと、上手く演奏ができない原因の半分以上がハーモニカそのものではなく、ハーモニカに取り組む姿勢や意識にあるということです。
これは、ハーモニカのスキルアップを図るためには、練習に取り組む姿勢や意識を変えることが極めて重要であるということを意味しています。
ハーモニカに取り組む姿勢や意識を変えよう!!
上記の34項目の改善は、ハーモニカ上達のためにはどれも欠かすことのできないものです。これらの項目を改善するときに、ハーモニカがなくても練習できるのはどれでしょうか?それはNO14、15、27、28、31、32ですね。
NO15・・・ドレミファソラシの音名と音の高さが連動していな
い。
NO27・・・基本的なスケール練習を音名で歌えない。
NO28・・・ドレミファソラシドの音は何番穴で出すのかという
基本的なことが、頭の中で整理されていない。
NO31・・・4番と5番、または8番と9番の「ド」
の穴番号を意識していない。つまり、4番のドの音
を出しているのか、5番のドの音を出しているのか
という意識が曖昧である。
NO32・・・頭の中でハーモニカの動きをイメージしていない。
これらの6項目を別な言葉に置き換えると、次のようになります。またこれら6項目を「6つの要素」と呼ぶことにします。
2 ドレミファソラシドの音名と音の高さが連動していること。
3 基本的なスケール練習を音名で歌えること。
4 ドレミファソラシドの音が何番穴かをちゃんと覚えること。
5 4番と5番、8番と9番のドの穴番号を意識すること。
6 頭の中でハーモニカの動きをイメージすること。
早い段階で6つの要素を磨きましょう! そうすればQOLを向上させることができます!!
プロのハーモニカ奏者でない限り、ハーモニカに多くの時間を割くことはできないというのが現実ではないでしょうか。仕事や家事、親の介護、親戚付き合い、友人との交流などやるべきことは山ほどあります。ハーモニカ以外にも山登りや絵画、ダンスなどの趣味にも興じたいものです。
そういうことを考えると、なるべく無駄のない練習を心掛ける必要があります。
例えば、1日に1時間練習しこれを約3ケ月間続け、計100時間で1曲を仕上げる人と、その半分の50時間で仕上げる人とでは、誰しも後者のようになりたいと思うでしょう。そうなれば、余った時間を他に振り向けることができるようになりますからね。
皆さんが6つの要素を身に付ければ、練習時間を飛躍的に短縮させ、かつ練習の質を向上させることができるようになります。
結果的に、生活の質、人生の質(QOL:クオリティオブライフ)を向上させることができるようになります。
なぜ、6つの要素を磨くのかということですが、それには理由が2つあります。
第1は、ハーモニカがなくてもできるからです。テレビを観ているとき、車を運転しているとき、居間でくつろいでいるとき、寝ているときなど、いつでもどこでもできます。いたって簡単そうですが、なかなかできないものです。やろうという強い意識を持つことが必要です。
ハーモニカの演奏をしている時、頭の中で音名が流れ、かつハーモニカの動きがイメージできれば、以下のことができるようになります。
① 暗譜に近い状態で演奏しているので楽譜を追いかける
必要がない。
②演奏にゆとりができる。
③ミスが格段に減る。
④音そのものに集中するので、表現力が格段に増す。
例えば、AさんとBさんが発表会に向けて、ある曲を100回練習したとします。
このとき、Aさんは6つの要素を意識せずに、Bさんは意識して練習したという場合を考えてください。この両者を比較すると、BさんはAさんよりも遥かに質の高い練習をしたことになります。しかもBさんはハーモニカを持たないときでも、頭の中でいつもイメージトレーニングをしているでしょう。
このイメージトレーニングをするということが、ハーモニカ上達のためには非常に重要です。
では次に、6つの要素を磨くためにはどのようなことをすればよいかについて述べます。
【6つの要素】
① 演奏するとき、音名が頭の中を流れていること。
②ドレミファソラシドの音名と音の高さが連動していること。
③基本的なスケール練習を音名で歌えること。
④ドレミファソラシドの音が何番穴かをちゃんと覚えること。
⑤4番と5番、8番と9番のドの穴番号を意識すること。
⑥頭の中でハーモニカの動きをイメージすること。
この6つの要素のうち、①②③はあらゆる楽器に共通するもので、④⑤⑥はハーモニカに固有のものです。
まず、①②③を獲得するためにはどうしたらよいかということについて述べます。
(※小さい頃からピアノやバイオリンなどの楽器に親しんでいた人、中学高校で吹奏楽や合唱団に入っていた人たちにとっては、どうしてこんな簡単なことができないの?と思われるでしょう。しかし、ここではそれができない人に対して述べているので、少々我慢してください。)
ふるさと、ちょうちょう、きらきら星などの童謡・唱歌を、声を出して音名で歌いましょう。このような曲は音数が少なく、1分前後で終わりますので、覚えやすいと思います。最初は楽譜を見てもいいですが、記憶を確かなものにするために、覚えたら楽譜は見ないようにしましょう。レパートリーが10曲ほど増えれば、音名で歌うことに対して抵抗もなくなるでしょう。音名と音の高さが徐々に連動してくると思います。
ハーモニカ用の頭の回路を作る
音名で歌える曲が増えてきたら、今度は頭の中でハーモニカの動きがイメージできるように訓練しましょう。一美塾では音名で歌いながらハーモニカの動きをイメージすることを「ハーモニカ用の頭の回路を作る」と言っています。
やり方ですが、左の図を見てください。円の中の下に吹く音「ドミソド」を、上に吸う音「レファラシ」を書き、円の下にはハーモニカの穴番号を書きます。これは頭の中でハーモニカの動きをイメージするための便宜上のものです。
左の図のように白紙に〇と音名、穴番号を書いてください。そして指で指しながら音名で歌ってください。これを何度も繰り返します。慣れてきたら紙から目を離して、歌いながら頭の中でイメージしてください。これを繰り返しているうちに、ハーモニカの動きと音名が連動してきます。皆さんの中には、馬鹿馬鹿しいと思う人もいるでしょう。しかし、一見馬鹿馬鹿しいと思えるようなことがゆくゆくは大きな財産となります。
寝る前に、ふるさと、ちょうちょう、きらきら星の3曲を頭で歌いながらハーモニカの動きをイメージしてください。ゆっくり、ゆっくりと確認するように行ってください。分からなくなったらそこで止まってじっくりと考えてください。考えることが非常に大事です。
4番と5番のどちらのドを吹いているかをいつも認識しよう
最後は、音名のドの音について、4番穴と5番穴(または8番穴と9番穴)を吹き分けるための練習です。
※これから以下、4番、5番、8番、9番という記述をしていますが、これはハーモニカの穴番号を指しています。
まずこの説明をする前に、演奏するときにどちらのドを選択するかということについて述べておきます。
例えば、楽譜上にドの音が出てきたときに、どちらのド、つまり4番と5番(または8番と9番)のどちらの音を吹くのかということについては、2通りの考え方があります。
1つは基本的に5番のドを吹くという考え、2つ目は、ドの次の音がレよりも高い場合は5番のド、シより低ければ4番ドを吹くという考え方です。
どちらのドを選択するかについては2通りの考え方がある。
A:基本的に5番のドを吹く。
B:基本的にドの次の音が、レより高ければ5番のドを吹
く、シより低ければ4番の音を吹く。
※ここでは述べませんが、「基本的に」としているようにどちらにも例外があります。なお、一美塾(Kazumijuku)ではBの方法を取っています。
4番と5番のドの位置を正確にとらえるのは簡単ではない!!
左の譜面(譜例1~3)に穴番号を記載していますので、これに従ってゆっくりと練習してください。これは先ほど説明した吹き分けの仕方のBに従ったものです。
いつもAの方法を取られている場合でも、この譜例に従って練習してください。なぜかというと、4番のドを吹いているか、5番のドを吹いているかを頭でしっかりと認識するためです。5番のドだけを吹いていたら認識する能力を養うことはできません。
ここで1つ注意することがあります。左の図を見てください。4番のシから5番のドに移動したとき、ほとんどの人が5番穴を正確にとらえていないことです。つまり5番よりも1mm~2mmほど左側をとらえています。茶色で塗りつぶしている部分がズレています。
ズレていると音が混ざりますが、さほど気にしていない人が多いように思います。耳の肥えた人にはすぐに分かります。心地よい音ではありませんので、しっかりと正確にとらえるようにしましょう。
これまで述べてきたことをまとめてみます。
上手く演奏ができない原因を分析すると、ハーモニカに対する取り組み方や意識が大きなウエイトを占めている。だから上手くなるためには取り組み方や意識を変えることが重要。上手く演奏できない原因の中には、ハーモニカがなくても練習できるものがある。これが6つの要素で、これらはハーモニカの基礎を作る上で非常に大事なものである。そして最後に、ハーモニカ用の頭の回路を作りましょうということで締めました。
ハーモニカ用の回路を作りましょうというのは、一美塾からの一つの提案です。ピアノの経験者の中には、演奏している時はピアノの鍵盤が頭に浮かぶという人がいますが、それはそれでよいと思います。自分流のやり方でちゃんと演奏ができれば何ら問題ありません。
しかし、演奏しているときに頭には何もイメージが浮かばない、ただただ穴番号を追いかけているというのは少々心配です。間違わずに演奏するということに集中してしまい、どのように表現するかということが二の次になるからです。
頭にイメージが浮かばない人は、是非、ハーモニカ用の頭の回路を作るということに挑戦してください。
最後までお付き合い有り難うございました。
クロマティックハーモニカ道場 ・一美塾(Kazumijuku)
2021年2月9日